敵わないなあと思うこと

枯葉

敵わないなあと思うことは色々ありますけど、身近なところでは写真家ですね。この人には敵わないなあと思う写真家を挙げればすぐに百人くらいあげられそうですし、写真家以外の人に広げればそれはもう無限と言っていいほど居ます。

で、それはまあ己の凡庸さを受け入れれば済む事ですが、真に敵わないなあと思うのはやっぱり自然。
今朝の散歩で拾った落ち葉ですけど、どうよ、このデザイン、色使い。
画家は自然を模倣するって言いますけど、実際感服しますね(指がきたないけど)。

まあそれと自然のうちなんですが、太陽が地球上に見せるライティング、これも敵いませんね。

だいたい写真家は(私が意識しているのは商品写真家ですが)面で光源をこしらえてライトを組みます。
ところが太陽は点光源の一灯ライティングです。
返しのレフも使いません。
それでメリハリがありかつ柔らかいライティングを見せます。

佃島

これも今朝の隅田川から佃を撮った写真ですがいい感じですよねえ。

太陽が点光源と言っても無限遠からの点光源は面光源と考えていいんじゃないかと言う声も聞こえてきそうですが、次の写真を見てください。

隅田川

佃を撮った位置でレンズを下に向けた写真です。
こんなに細い被写体の影をこれほどくっきり落とすのはやっぱり面光源ではできない技ですよね。

もともと写真家が面光源を多用するのは影を殺すためですから、影のくっきり出てしまう点光源は使われないんですね。

でも太陽が見せる点光源一灯ライティングは見事ですよねえ。

点光源を使う写真家を私は一人知っています。
Arnold Gilbertというアメリカ人。
もともとは写真のコレクターとして著名な人です。
この方の息子さんが日本人と結婚されているので、来日されたこともあります。
その時に日大で講演もされています。
私は実際にお会いしました。
彼以外に点光源で写真を作る写真家を私は知りませんが、彼は撮影しないんです。
撮影しない写真家って、矛盾していますが、彼はフォトグラムの作家なんです。

フォトグラムといえばマンレイが有名ですが、マンレイのフォトグラムは世の中がありがたがるほどには傑作とは思えません。
あの程度は私にも作れます。
が、Gilbertさんのフォトグラムはちょっと真似ができません。

Gilbertさんにお会いする機会のあった時に私も自分の作ったフォトグラムを持参したんですが、そして彼は褒めてくれましたが、私のはマンレイ調の誰にでも出来るフォトグラム。
彼の賛辞は社交辞令です。
その時彼が教えてくれたのは「私はワインとチーズを持って暗室に入る」でした。
つまりワインを飲みチーズを食べフォトグラムを作る、それが楽しみだということでした。
その時に、色々教えてくださったのですが、彼の制作上のノウハウでもありますので細かいことまでは書きませんが、使うのは点光源だということでした。
そこから、誰も目にしたことのないフォトグラムの世界が開けてきます。
ググれば作品のいくつかは見つかると思います。
モチーフが何か、どういうライティングなのか、想像すると眠れなくなりますよ。

とりとめなく色々書きましたが、まあ世の中は敵わない人、ものだらけですね。

でもその敵わない人たちの拵えたものを見る自由はあるわけですから、そうがっかりばかりしないでもいいのかなと思います。

お天気の良い、風の強い朝でした。

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