それ売って下さい
2011 年 6 月 28 日先ずは道具立てから。
百均の傘は、ぱらぱらと落ちる実を受け止めるため。
その横の黒い取っ手の付いた棒は隅田川でスズキを捕るときに使うギャフですが、本日は枝を叩くために使用します。そしてステンレスのざるには採集した赤い実が入っています。
そうです、久しぶりに清澄公園でヤマモモ採りをしました。
これがヤマモモです。
途中経過です。
これから更に採りました。傘を逆さまに持ち、ギャフで枝を叩くと、逆さまに拡げた傘の中に実がパラパラと落ちてきます。これは一昨年、地面に落ちたヤマモモを拾っていて思いついた方法で言ってみればカザマメソッド(笑。
さて、白髪頭のおじいさんがこんなことをしていると、そこを通る色々な人が声をかけてきます。
一人はわたしと同年配の既に悠々自適の生活に入ったとおぼしき人。
「なにやってんです?」
「ヤマモモとってんですよ」
「食べるんですか?」
「ジャムにしようかと思いましてね。」「へえ」「ヤマモモのコンポート、買うとべらぼうなんですよ」
「なあるほど、深川には面白い人が居ますねえ。あたし浅草から来るんですがね」
まあこの人、ひとしきり喋っていきました。なんでも、浅草にはコーナンみたいな店が無くて、それでわざわざチャリンコで深川まで来るんだそうです。
次に来たのは保育園児の団体。毎朝この公園で遊ばせています。
それが、わたしを見て、引率の年配の先生が「このおじさまは、なにをしているんでしょう?」
てね、急にわたしを教材に 授業。しかもおじ様だってんですから。子供達勝手なことを言ってます。まあ、相手は幼児ですから、わたしも笑ってるしかありませんよね。それでにこにこ。
そのあと来たのが、深川ではあまり見かけない馬鹿に品のいい高齢のご婦人方。
「あら、すてき」なんか言ってます。「なにかお作りになるの?」 山の手言葉です。下町代表としちゃあ馬鹿にされちゃあいけませんから、せいぜい頑張って、美しい言葉づかいでご説明申し上げたてまつりましたでげすよ。
「ヤマモモです。ジャムを作ろうと思ってね」て、ちっとも丁寧じゃありません。
「ジャムをねえ」感心しています。もしかして、憐れんでたのかな? まあ、そんなことはどっちでもいいや。
「ヤマモモで一句できましたか?」なんて、下町の悪い癖で、手にかみ切れと鉛筆もって品のいいご婦人が歩いているんで、俳句散歩かなと踏んだわけです。しかし、そんなわたしのからかいには乗らず、そこに置いてあったカゴに近づいて、「一つ頂いてもよろしいかしら?」
敵はゆとりがあるなあ、と感心しきりのカザマでありました。
そして今日一番驚いたのは若い娘。やけに胴の長い犬を連れて 近づいてきたと思ったら、前置きなしに「それ、売って下さい」かちんと来ました。修行ができていないわたしは、業腹から「拾いなさい」と言ってやりました。娘は「そうですかあ」と言って、別に悪びれるわけでもなく、行ってしまいました。
なんだろうねえ、ああいうの。可愛らしさが微塵もない。あんなの放し飼いしといていいんだろうか。
と、まあ、色々ありましたが、今年はたくさん拾いました。
おしまい。