ゼロメートル地帯
2009 年 8 月 17 日写真、なんか変でしょ。
あははは、ほんとはこんな写真公開してはいけません。
職業カメラマンとしては致命的な一枚です。
DP1というシグマのカメラは今時のカメラとしては天然記念物的に立ち上がりと、動作のタイムラグが大きいカメラなんです。
なので、私は距離測定を目測にしております。
昔はそれが当たり前だったんですが、いつか知らずAFにならされてしまっていたんですね。
距離合わせずにシャッターを押して、しかも今パソで開くまでそのことに気づきませんでした。
アッチャアー !!!
でも、きょうの話しはこの写真がないと、わかりにくいので、恥を忍んでこの写真を載せたわけです(涙。
美濃部亮吉さん(天皇機関説の美濃部達吉の息子さん)が東京都知事だったときに、
今の隅田川のカミソリ堤防ができたことは以前に書いたような気がしますが、
これができたときは評判のすこぶる悪かったこのコンクリート堤防はしかし、
深川のいわゆるゼロメートル地帯に暮らす人達にとっては、ほんとにありがたい堤防だったんです。
それまでは小ぬか雨でもとは言いませんが、ちょっとした雨でもすぐに水が出て、都電が止まったりしていました。
中学の時学区外から寄留して日本橋の紅葉川中学へ通ってきていた「ヤマザキカネキチ」君は
小雨が降ると、学校休んでいました。
先生が「ヤマザキは今日は都電が止まっているんで、お休みだ」なんて朝のホームルームで我々に説明したもんです。
「ヤマザキはいいよなあ」て、我々はすこぶる羨ましがったりしました。
その名残が、この鉄塔です。
名残と言っても、今はゼロメートル地帯でなくなったってわけじゃありませんよ。
今でもそこは昔のままなんですが、大きな水門が川の支流ごとに設けられ、
排水ポンプも性能が上がって、今では台風が来たってこのあたりが冠水しないのに
目黒や馬場あたりで水が出ています。
それだけここいらは、水に対する守りが鉄壁というわけです。
で、この鉄塔、ほんとは部分的に拡大して写真で分かるようにするつもりだったんですが、とても読めません。
ははは、なので文章で説明、とほほ。
鉄塔にくっついている輪っかの上から二番目が過去最高水位、地表面から三メートルぐらいあります。
3番目がキティー台風の時の冠水面。
5番目、一番下が現在の海面、平均潮位です。
この位置で地表面から2メーター20センチぐらいです。
すごいでしょ、海面下2メートルに暮らしているんですよ。
ハゼだってデキの頃は50センチぐらいのところに暮らしてますから、これは浅場のキスみたいな暮らしですよね。
驚くじゃありませんか。
この場所、中国に言わせれば「日本国領土とは認めない」てなりますよ。
まわりを護岸で固めたじべたは島じゃないって主張してますから。
とにかく大変なところにまで人間はその居住空間を拡げているわけですね。
宣言! あとで写真撮り直しに行ってきよう。
写真撮り直してきました。
読めるもんですねえ。
やっぱり写真はピントを合わせてから撮りましょう、なんてね。
もう説明するまでもないですね、見たとおりです。
鉄塔の向こう側に見える公衆便所みたいな建物は自動潮位記録計の設置してある建物です。
大正7年時の地表面の高さが平均海面よりかなり上(+70cm)ですが、これはたぶんこの地がこれだけ沈下したという意味ではなく、
東京の平均地表面を表しているんだろうと思います。
だってこのあたりは埋め立て地ですからね。