制作秘話、なんておおげさな
2008 年 10 月 29 日
Polaroid Transfer
「売りましょ買いましょ展」、なんですか残っているのは19日のところでお見せしたカーラー(最近はカラーて言いますね)のみだそうです。
このカラーも、もうオリジナルは手元にないんですがこれができたのは偶然の産物なんです。
わたしは大体ポラロイドの転写はアルシュというフランス製の水彩紙を使います。
理由はこの紙がパルプでなくコットンであると言うこと、無酸性紙であること、そしてなにより水に強いと言うことですね。
この西瓜もそうですがわたしは転写してそのままということもあるんですが
大概は水に入れて歯ブラシでこすったり、たわしで叩いたりするもんですから、普通のパルプの紙ですと溶けてしまいます。
それでこの紙を使うんですが、この紙が一枚千円弱します。
ポラロイドの転写なんておやりになった方はご存じでしょうがもの凄く歩留まりが悪いんです。
100枚転写して20枚成功すれば良い方です。
ですからヤレが盛大に出ます。その失敗の裏をテストに使うんですがそれがしょっちゅう足りなくなるんです。
で、手近にある紙でテストをします。
このカラーの時はトレペにやってみたんです。
できた当座は失敗。あまり上手く染料が食いつきませんし、薄い紙で色も良く分からない。
でも長年の経験で、その場でくしゃくしゃとはしませんでした。
時間がたつと良く化けることがあるからです。
それがこれ。乾いてきたらトレペが皺になってきたんです。
我々の言葉でレチキュレーション、失敗の代名詞です。
でもそれが面白かった。
ですからまわりを線香で焼いて台紙に張り込んでみたら、けっこういけます。
陶芸家と一緒で、我々の仕事なんか子供の遊びの延長なんですね。
広告写真の場合はそうはいきませんが、自分の作品を作る時は子供の遊びと一緒です。
だから楽しいんですね。
アメリカにジーンズ作る時に出る膨大な端布を集めてそれを材料に美術用のコットンペーパー作っているメーカーがあります。
フェデルスコーニ(?)といったかと思います。
いい紙なんだそうですがわたしはまだ使ったことがありません。
ま、そんなわけで案内状を出さない展覧会でしゃしんはうれました。
皆さん本当にありがとうございました。