バイアス
2008 年 5 月 28 日展覧会のお知らせです。
このお二人とは何の関わりもありません。
また、この企画をプロデュースされた香月真理子さんや写真家の井原淳一さんと親交があるわけでもありません。
そうして、ここに展覧会を開いているお二人の作品や生き方に大いなる感銘を受けた、というわけでもありません。
それなのに何故この展覧会を皆さんにお知らせするかと言えば、タイトルの「バイアス」です。
展覧会場に感想を書くためのノートが置いてあります。
そこにあるひとりの方が、「私のバイアスのかかった目線」というような言葉が書かれていました。
この言葉に、大袈裟に言えば、ショックを受けたのです。
そして展覧会自体は感じの良いものなので、ちょっとお知らせしておこうかと、思いました。
中央区の図書館はググればすぐに分かります。6/5迄、お休みはないようです。
さて、「バイアス」ですが、心理学なんかで使われる言葉ですが、もともとは、というかわたしなどは
電子回路の中で使われる用語として知っていました。ブリッジとかバイアスとか。
先の感想ノートで筆者が使われたのは心理学用語として、偏見とか先入観とか言う意味で使われたんだと思います。
わたしは、自分では自分のことを差別意識のない方だと思っています。
被差別部落の出身者や部落解放同盟、在日韓国朝鮮人の方々にはシンパシーを感じています。
それでもこのお二人をわたしは先の筆者同様、バイアスのかかった目で見ていた事を思い知らされたのです。
簡単に説明しますと、お一人は日本橋のたもと、銀座に向かって手前右の橋のたもとで、お天気の良い日に
地面に座り込んで、ぼろ布で人形を作っていました。作っていたものは「稚拙」とわたしの目には映るものでした。
もうお一人は茅場橋の上で路上生活をしていました。
リヤカーのようなものに囲いをつけて香港フラワーやら絵やら写真やら意味不明なオブジェやら、
ありとあらゆる脈絡のないものをそのリヤカーにくくりつけて、その中で生活していました。満艦飾そのもの。
わたしはこのお二人をしょっちゅう見ていました。大概は自転車で用足しに行く途中。
自転車を止めて、会話をするとかいうことはありませんでした。
正直な感想は「変な人が居るなあ」です。
ここであまりこのへんのわたしの心理を書いても、自虐的に自己弁護をすることになりそうなので
ただ自分のバイアスのかかった目線にショックを受けた、とだけにしておきます。
このお二人のことは雑誌にも載ったそうですからご存じの向きもあるかと思いますが
まあ、写真も企画も感じのいい展覧会であったのと、場所が図書館、わたしの反省などを込めまして
お知らせ致します。