人形町の桜 5と猫
2006 年 3 月 30 日ちょっと陽がさして来ると、猫たちがはい出してきます。ひとしきりじゃれてまたすぐ隠れてしまいますが、やっぱり春を感じているのでしょう。この三匹は皆まだ幼いんですが、うまく逃げ切ればまた繁殖するでしょう。
定点観測はこんな具合です。今年は寒いせいか夜大騒ぎをしている人たちが居ません。なんだか皆さん静かに桜を楽しんでおられるようで、誠に結構。昔はこの縦長の公園は川だったんです。ですから桜にはいいのかもしれません。道の両側に船宿が並んで、猪牙舟(ちょきぶね)が浮いていたりしたんですが、すっかり変わってしまいました。特に奥に聳える高層ビルは町の一区画をそっくり地上げして建てたものですから、周囲に公共広場を作ってもその中を通っていた道や路地はすべて消えてしまいました。
東京の町は東京オリンピックを境に激しく変貌したように思われていますが、実は江戸時代のまま残っているものが至る処にあるんです。それが道。切り絵図を持って町を歩けば、江戸時代の道がこんなにそのまま残っているのかと驚かされますが、このビルのように一区画丸々買い取ってビルをおっ建てるというのはいいんでしょうか? 道は私有できないんじゃないでしょうか? 役所と巨大資本が勝手なことをしていますが、ここで文化がとぎれたことは確かです。以前の町並み地図をここに掲げると言うような配慮はみじんもありません。
ヨーロッパのように文化は人の生活に不可欠なんだという意識が完全に欠如しています。儲けがでたら文化にもいくらか予算をつけるか、と考えているようでは、まだまだ後進国、と結局例によって小言幸兵衛でお開きになりました。